北海道胆振東部地震が残した深い爪跡

2018.09.25 UP

北海道内で初めて最大震度7を記録した「北海道胆振東部地震」の影響を検証



INDEX


1  複数要因の組合せ


2 浅い盛土で被害大


3 建主と情報共有を


4 造成宅地の防災に



9月6日未明に発生した「北海道胆振東部地震」。北海道内で初めて最大震度7を記録し、札幌市を含む石狩中南部は震度6弱を観測した。道がまとめた21日午前10時現在の被害状況によると、住宅の全壊130棟、半壊317棟、一部損壊2930棟。このうち札幌市は全壊40棟、半壊142棟、一部損壊1721棟で、被災棟数全体の56・4%を占め、半壊と一部損壊が最多。清田区里塚では液状化現象や陥没などの深い爪跡を残している。


 LIXILグループで地盤調査及び建物検査などの事業を展開するジャパンホームシールド(JHS、東京都)は18日、地盤品質判定士の資格を持つスタッフ4人による現地踏査を実施した。



 写真①=清田区里塚の液状化現場


清田区里塚の液状化現場(写真①).JPG




 ■複数要因の組合せ


同社担当者は、現時点での調査結果で原因について、「いずれも液状化に関連するものだが、複数の要因が組み合わさって起こったとみられる」と指摘。地震前日の5日は台風21号による暴風雨が強かったことや、今回の地震は2003年の十勝沖地震と比べ、「短周期で長時間の揺れが特徴。それが浅い盛土・埋土という地盤条件で液状化を起こしやすくした可能性が高い」とみる。



写真②=波打つ幹線道路


波打つ幹線道路(写真②).JPG




■浅い盛土で被害大


里塚地区は、造成時にかつての谷部分への盛土が一つの要因とみられるという。被害が甚大なエリアの西側(上流側)から北東方向に、かつての川の水を流す暗渠が設けられていたほか、東側(下流側)には水道管が破裂した個所があり、「上流側には地下水が豊富にあって液状化しやすく、下流側へ土砂がどんどん吸い出される形となって被害を助長した可能性がある」と解説。ただ、今回のような被害を予測することは「建物の設計段階では非常に難しい。造成時にしっかりとした排水計画と、埋め戻す際に土を入れ替えるなどの対策がされているかを確認することが必要だったのでは」と提言する。



写真③=東区の市道東15丁目屯田通に亀裂や陥没


東区の市道東15丁目屯田通に亀裂や陥没(写真③).JPG



■建主と情報共有を


また同社は、本道には大特殊土壌と言われる火山灰土、泥炭土(腐植土)、重粘土が多く、水も豊富で、「特に埋め戻された火山灰土は締め固まりにくく、水より軽いものもあり、本州方面よりも液状化しやすい軟弱地盤となることがある」と説明。一般的に新築住宅を施工する場合、現状は地盤補強材として杭を採用するのが通例だが、「今後は基礎杭導入の選択肢も含め、建主と建築計画作成時に打ち合わせを行う必要性が高まったと言える」と強調。建主の求める土地が「どんな土地なのか。不動産業者、ビルダー・工務店に対する情報の提供と共有が重要。われわれ地盤の専門家に相談してほしい」と話す。



写真④=ジャパンホームシールドの現地調査団


ジャパンホームシールドの現地調査団(写真④).JPG



造成宅地の防災に


 地盤品質判定士の資格は2011年の東日本大震災が契機となり、住宅や造成宅地の防災・減災を通じ国民の住環境の安全性向上を目的に地盤品質判定士協議会(東京都)が13年に創設。(公社)地盤工学会に事務局を置く。同判定士の有資格者数は3月現在952人。




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㈱北海道住宅通信社