家の外壁は、時間と共に劣化していきます。汚れや色落ちなどが目立つようになるのは、新築の状態から10年ほど経過した頃ですが、このタイミングで外壁のメンテナンスを検討する方も多いのではないでしょうか。
初めて外壁をメンテナンスする場合、費用や業者選び、そもそもメンテナンスする必要性が本当にあるかなど、多くの疑問が浮かぶかと思います。今回は、メンテナンスが必要な理由を解説し、時期の目安や外注する際の費用などについて紹介します。
外壁メンテナンスの必要性
外壁メンテナンスとは、ひび割れや塗装のはがれ、破損など外壁に見られる症状に対し、素材を張り替えたり塗装を塗り替えることを指します。中には色味を変えてイメージチェンジを図る人もいます。
そもそも外壁は、常に外気にさらされている住宅を紫外線や雨水から守り、素材によっては断熱性を高め、室内空間を快適に保つ役割を果たします。外壁のダメージは見た目だけの問題ではなく、自然災害への耐性や住み心地に大きく影響するため、放置すると危険です。
劣化の度合いが大きくなるほど、補修費用も高くなるため、10年を目安に実施するのが良策でしょう。
外壁メンテナンスの時期は素材によって異なる
築10年がメンテナンスの目安と言われていますが、実は、外壁の素材によりメンテナンス時期が異なります。完全にメンテナンスが不要な素材というのは存在せず、いずれかのタイミングでメンテナンスが必要です。各外壁素材の耐用年数を知ることで、適切なタイミングを見極めやすくなるでしょう。
外壁の施工方法として、大きく「サイディング」と「モルタル」があります。サイディング外壁は、壁に板を張り、モルタル外壁は、コンクリートと砂を配合したモルタルという素材を直接壁に塗ったものです。国内の新築一戸建てでは、最も多いのが「窒業系サイディング」で約8割を占め、次いで多いのがモルタルとなっています。
サイディング、モルタルそれぞれの特徴と耐用年数を比較します。
サイディング
サイディングで主に使用されるのは、「窯業系」「金属系」「樹脂系」「木質系」の4種類です。
窯業系サイディングは、煉瓦調やタイル調など豊富なデザインとカラーバリエーションから選べ、さらに地震や火事などの災害に対する耐性も高く遮音性にも優れるため、人気が高い素材です。耐用年数は7~8年と、他の素材に比べ若干短くなります。
金属系サイディングは、名前の通り金属板を使った外壁材で、窯業系に比較すると、衝撃によるひび割れや凍害に強い特徴があります。また、断熱効果にも優れ、寒冷地でも使いやすい素材です。耐用年数は10~15年で、一般的に言われる「10年」よりも長く品質を維持します。
樹脂系サイディングは、プラスチックの一種である塩化ビニル樹脂を使った外壁材で、凍害や塩害に強く、軽量で耐震性も高いため、日本の国土に適した素材と言えます。耐用年数は10~20 年と、サイディングの中でも長く品質を保ちます。
最後に木質系サイディングですが、木材を使った板状の外壁材で、一枚板の場合や集成材の場合もあります。天然の木を使用しているため、熱を吸収しにくく断熱性が高いのが特徴です。また、木が1本ずつ違うように、表面の色味や模様が少しずつ異なり、ナチュラルなデザインを楽しめます。耐用年数は10年程度です。
モルタル
モルタルは、砂、セメント、水を練り混ぜて作られた材質で、職人の手作業で塗り上げるため、カーブのある外壁にも塗装が可能です。また、デザインに自由度があり、独特の風合いや模様など、個性際立つ外壁を創り出せます。サイディングと異なり、モルタルは継ぎ目が無いため、シーリングは不要です。耐用年数は8年~10年です。
サイディングのメンテナンスの必要性を見分けるポイント
サイディングの主な4種について、それぞれメンテナンスの目安となるサインがあります。耐用年数に関わらず劣化の症状が見られたら、メンテナンスを検討しましょう。
<共通>色あせ
紫外線などにより、年数が経過すると外壁の表面が色あせていきます。特に、日当たりのいい南面や西面は、色あせが進みやすいため直にチェックすると良いでしょう。
色あせは、古びた印象を与えるだけでなく、塗膜の防水機能が低下しているサインであるため、雨水などが沁み込みやすくなります。
<窯業系・木質系>コケ、藻の付着
空気中の湿気により、外壁にコケや藻が発生する場合があります。たとえば、森林や川から近い場所は湿度が高くなりやすいため、空気中にあるコケや藻の胞子が外壁に付着しやすい環境です。森林や川から離れた地域でも、建蔽率が高く住宅が密集していたり、高い塀に囲まれて通気性や日当たりが悪ければ、コケや藻が育ちやすくなります。
外壁に付着したコケや藻自体に水分が含まれているため、壁の内側に湿気が入り込みやすくなり、躯体の腐食に至ってしまう可能性があります。
<窯業系・金属系>チョーキングの発生
外壁の表面に白い粉のようなものが現れる場合も、外壁の劣化を示しています。これは、塗料に含まれる顔料の成分が、太陽熱や風雨により分解されて起きる現象で、白や外壁と同じ色の粉末が付着します。日当たりの良い南面、西面、上層階で起きやすい傾向です。
チョーキングは防水機能の低下を知らせており、色あせやコケの付着と同様に、一度起きると自然に直ることはないため、見過ごさず早めに補修しましょう。
<窯業系>塗膜の膨れや剥がれ
塗膜が水膨れのようになっている、もしくは破れて剥がれ落ちてしまっている状態は、塗装が本来持つ機能を失っており、範囲が広ければ、全面を一から塗装し直す必要が出てきます。
膨れや剥がれは、紫外線や雨風が外壁に浸透し、内部からの湿気が塗膜を浮き上がらせることで発生するため、凍害により水分が凍結して膨張しやすい寒冷地で起こりやすい傾向です。
<窯業系>シーリング部分のひび
外壁材同士の継ぎ目部分や、窓サッシを囲むゴム部分をシーリングと呼び、経年劣化によりひび割れを生じることがあります。これは、シーリングに使われるゴム状の素材が年数とともに硬くなり、地震や車が通る振動でひびが入るためです。
シーリングのひびが進行すれば、雨水が侵入しやすくなり、外壁の腐食も進みます。修復方法として、シーリング部分の打ち替えや外壁の塗り替えが必要です。
外壁メンテナンスにかかる費用
外壁の修繕費用は、手段や範囲によってさまざまです。ここでは代表的な方法とメリット、おおよその費用目安を紹介します。更に詳しい料金が知りたい場合は、ぜひお気軽にお問合せください。
持ち家など、多額の費用が必要な場合は、メンテナンス費用の貯蓄をするのが一般的です。そのため、あらかじめマネープランを立てるときに考えておくと、メンテンナンスする気持ちにも余裕が出てくるので、ぜひご確認ください。
<サイディング>費用目安
- 窯業系…4,500円~8,000円/㎡
- 金属系…4,000円~7,000円/㎡
- 樹脂系…3,400円~5,000円/㎡
- 木質系…5,500円~/㎡
サイディングの材質により費用に幅があります。また、築10年目でメンテナンスを開始するのと、20年目、30年目で開始するのでは、後者の方が劣化が深刻化した状態からの修復になるため1回あたりの費用が高くなります。
サイディングのメンテナンスは4種類あり、具体的にはシーリング部分のみ打ち換えをする「シーリング部分のみの補修」(約15~20万円)、サイディングボードの塗料を塗り替える「塗り替え」(約60~180万円)、新たなサイディングボードを上から被せる「重ね張り」(約130~220万円)、現行のサイディングボードをはがし、新たなものに取り替える「張り替え」(全体:約150~230万円、部分: 約10〜30万円)のいずれかになります。
<モルタル>費用目安
モルタル系外壁のメンテナンスについては、約30坪で60〜80万が相場です。塗料の耐用年数が長いものほど、相場は上がります。
外壁メンテナンスで良く聞く「メンテナンスフリー素材」
「メンテナンスフリー素材」は高耐久のため、メンテナンス頻度を抑えたり、手間をかけずにメンテナンスできるメリットがあります。ただし、完全にメンテナンス不要な素材では無いため注意が必要です。
たとえば、メンテナンスフリー素材のひとつ、「タイル」は、色あせしにくい特徴を持つ反面、目地や下地の劣化やタイルが剥がれ落ちるリスクは残ります。
オメガが提供する商品は耐用年数が30年程度と長く、長期間劣化しにくい素材を扱っています。また、汚れやカビ発生時に利用できる、専用の除去剤や、塗り替え用のアクロコート塗料も用意しているため、劣化症状を見つけた際も手早く対処が可能です。

自分で外壁メンテナンスを行う方法
外壁のメンテナンスは、業者に依頼する以外にも、セルフメンテナンスする方法があります。こまめにケアすることで、早期劣化を防げます。
手軽なメンテナンスとして挙げられるのが、外壁を掃除し、汚れを落とすことです。半年か1年に1度の頻度で実施すると、状態の定期点検にもなります。
具体的な方法は、まず汚れが気になる部分に水をかけ、洗車用のスポンジなどでこすりますが、強くこするとサイディングが傷ついたり剥がれたりするため、加減しましょう。
掃除に必要な道具は、一般家庭で準備できるスポンジやブラシ、バケツなどのため、入手は簡単です。外壁専用の洗浄剤は、ホームセンターや通販で購入できます。研磨剤やクレンザーは傷の原因となるため避けます。
高圧洗浄で汚れを落とす
スポンジやブラシでは落としにくい頑固な汚れに対しては、高圧洗浄が効果的です。最近では家庭でも、高圧洗浄機が一般的になってきました。高圧洗浄機は、製品により動力や機能の違いがあるため、目的に応じて選びます。
掃除する範囲が広い場合、ブラシやスポンジによる手作業では時間がかかりますが、高圧洗浄機を使えば効率化できます。ただし、水を噴射して汚れを落とすため、隣接する住宅への飛散や、周囲への騒音が伴う点に注意しましょう。
DIY塗装
DIYで外壁を塗装することも可能です。かかる費用は30万円~50万円で、業者に依頼するよりも抑えられます。また、自ら修復することで達成感が得られるのも魅力です。
施行の工程として、洗浄、養生、下地処理、下塗り、中塗り、上塗りがあり、業者であれば長くても1ヶ月程度で完了しますが、DIYでは3ヶ月程度かかることを想定しておくと良いでしょう。
また、DIYにおいても、業者による施行と同様に、安全に塗装するための足場を設置するのがおすすめです。足場を組み立てる専門業者に依頼し、安定性の高い「くさび緊結式足場」を選び作業します。
外壁メンテナンスは業者に依頼することが無難
外壁の定期的なメンテナンスは、美観の維持だけでなく、自然災害から住宅を守り、長く安心して住むために必要不可欠です。外壁に使われている素材の耐用年数を知ることはもちろん、実際に目で見たり触ったりすることで気付ける劣化症状もあるため、普段から意識するとメンテナンスのタイミングが把握しやすくなります。
業者への依頼には、一定の費用が必要ですが、長年の経験により、症状ごとに対処法が確立されているため、無駄なく効果的なメンテナンスが可能です。