【建築コラム】受注戸数と受注残、半数超が増加 戸建注文住宅市況「緊急アンケート」

2019.05.01 UP

column-kentiku-ap19.jpg 受注戸数と受注残、半数超が増加道内1~3月の戸建注文住宅市況「緊急アンケート」


目次
① 契約判断年明けに
② 土地次第変わらず


北海道住宅通信社は、札幌圏で戸建注文住宅を建築する主要25社を対象に、受注状況等に関するアンケート調査を行い18社から回答を得た。


■契約判断年明けに
 今年1〜3月の戸建注文住宅の受注戸数を前年同期と比べると、「5%以上の増加」が8社で、「5%未満の増加」の2社を合わせ、半数超の10社が前年を上回った。「5 % 未満の減少」と「5%以上の減少」が各2社、「変わらない」4社。
 5%以上増加した8社のうち本州系は2社のみ。地場勢は回答9社のうち6社までが5%以上の受注増となった。
 年明けの受注状況が好調な背景には、国の消費増税対策の遅れがある。
安倍総理が正式に増税を明言したのは昨年10月15日、さらに増税後のマイホーム取得を支援する最後のキーワードとなった「住宅ローン減税の3年延長」と「次世代住宅ポイント制度」が決まったのは12月の半ば過ぎだった。
 「8%と10%、どちらにメリットがあるか分からない段階で契約は結べなかった」(地場中堅ビルダー営業マン)というように、商談客の多くは契約に関する判断を年明
けに先送りせざるを得なかった。地場ビルダーは本州系に比べ建築費が低く、消費増税に敏感な若年層がメインターゲットであることも、本州系に比べ増加回答が多かった要因といえる。


(写真)


■土地次第変わらず
「消費増税前の駆け込み需要を感じているか」との質問には、12社が「感じる」と回答、「感じない」の6社を上回った。「感じる」は本州系、地場勢ともに6社。
4月1日時点で受注済みの注文住宅戸数に占める未着工工事の割合、い
わゆる受注残について、前年との比較を聞いた。「多少増えた」が9社で半数を占め、「かなり増えた」の4社を合わせ、7割超の13社が受注残を増やした。「わずかに減
少」が2社、「変わらない」3社。
1〜3月の受注戸数が増えた10社は全て受注残も増えている。受注残が「かなり増えた」と回答した4社は、いずれも1〜3月の受注戸数が5%以上の増加。
今春は深刻化する職人不足を背景に、受注残を抱えていても着工できないケースが昨年以上に増えているようだ。アンケートの自由記入欄には「協力業者が足りない」
(地場)「人手不足で工期が遅れ気味」(地場)などの回答も。
出足は好調のように見える今年の注文住宅市場だが、各社の今期の受注予測については増減が分かれた。前期に比べ、「5%以上の増加」と「5%未満の増加」がそれぞれ4社。一方、「5%未満の減少」が4社、「5%以上の減少」も2社。
自由記入欄で最も多かったのが「宅地不足」。「価が上昇し、顧客の要望に見合った土地が少なくなった」(地場)、「資材価格の上昇と重なり総額はさらに上がりそう」(本州系)など、宅地不足が深刻化している様子が浮き彫りに。
「増税後の受注増に期待しているが、土地次第なのは増税前と同じ」(本州系)というのが実情のようだ。


(記事・写真)㈱北海道住宅通信社